最後の言葉「だしまき」

実家みよし駅に到着。
兄が迎えにきてくれて、二人で病院へ。

変わり果てた姿をイメージしてきてたので
見ても大丈夫だった。(乱れまいと必死な自分)

「お父さん、カブの酢の物ありがとう!おーい!東京から帰ってきたんだよぉーー」
手と足が動いた。

「お父さん、今回はだしまきが入ってなかったよーー。だしまきたべたいなー」というと突然。

「だしまき、だしまき、」
と弱々しくもつぶやき何回も繰り返した。

「そうたよ、だしまきだよ!だしまき巻いてよ!だしまき屋するんじゃろ?」

また、
「だしまき、だしまき。。。」と繰り返した。

お父さん(料理人)といえば、だしまきってくらい代表をするメニューで、地元の皆さんに何十年も愛される逸品になっていた。

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東京の友達にも食べさせたいというと、10本も送ってくれたり(多くて困った)、私がお世話になった人にも勝手にだしまきを送ったり、持ってってたり。

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↑広島でハミルカフェやったあとに、店主に持ってってたらしい。

「お父さんは卵に取り憑かれとるんよ」
とお母さんが言うほど、だしまき人生だった。

無意識でも、声を発してくれるなんて思ってもなかったので、だしまきだしまき!と私も耳元で言いつづけた。

そんな光景を見て
意外にもお兄ちゃんが涙をながしていた。

私は驚き、見ないようにした。

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